やってきました王様ランキング4巻!
3巻ではボッジが強くなるために、毎日クタクタになるまで稽古をしていました。
果たしてボッジはどれほど強くなれたのか、そしてボッス王国の今後はどのようになっていくのか!
早速レビューを書いていきます、やっぱり面白いんだよなこの漫画。
ボッス王の復活
魔法の鏡の声を聞いたアピスの顔色が一気に青ざめた。
「ま…まさか…ミランジョ様ですか?」
「覚えていたか、アピス」
魔法の鏡は嬉しそうに笑い声をあげた。
その横で聞いたことのない名前に、ダイダは首を傾げる。
どうやらアピスとミランジョ(魔法の鏡)は何年も前から面識があったらしい。
魔法の鏡はダイダに聞こえないくらいの声で、アピスと話を始めた。
その話が終わると、アピスはダイダの隙をつき、彼を気絶させる。
そして先ほど床にぶちまけた秘薬をかき集め、意識の無いダイダの口内へ全て流し込んだのだ。
「ダイダ様、あなたの不安は正しい。これは力を強くする秘薬ではありません…これは復活の秘薬…あなたはその入れ物!」
ミランジョは復活の呪文を唱え始める。
途端、ダイダの体は激しく痙攣し、その痙攣が収まるとゆっくりと目が開かれた。
「お帰りなさい、ボッス様」
ミランジョの声にダイダ…いや、ボッス王は全てを理解した。
「そうか…私はまた、息子を犠牲にしたか!」
ダイダの体にボッスが宿り、ダイダの意識は心の奥底の暗闇へと閉じ込められてしまったのだった。
稽古終了!免許皆伝!
カゲは外で掃き掃除をしながら、ボッジがどんな武器を選び、岩を真っ二つにしたのか考えていた。
そこに稽古を終えたデスパーとボッジが現れる。
「ボッジ君の免許皆伝に外でご飯を食べましょう」
「免許皆伝!?」
デスパーの言葉に、ボッジがとうとう強くなったことを知り喜ぶカゲ。
ボッジの表情も自信に満ち溢れている。
そして、腰には立派な剣の鞘を身に着けていたのだ。
今まで持つことすらできなかった大きな剣を軽々と振り回してみせるボッジ。
「ボッジすげぇよ!マジすげぇ!人って…やればできるんだな…」
感動と興奮で涙ぐむカゲの姿が嬉しくて、ボッジは更に剣を大きく振り回す。
すると遠心力で剣の鞘が抜け、出てきたのは…フェンシングの剣だった。
鞘の見た目とは裏腹に、細長い剣身にこれはインチキじゃないか!とカゲが騒ぐ。
その言葉にボッジはうつむいてしまう。
うつむくボッジにデスパーが声を掛けた。
「ボッジ君、あなた自身がみくびられることはこれから何万回もあります。
その都度自分を疑い、下を向くんですかあなたは?」
その言葉にハッとしたボッジは慌てて顔を上にあげた。
「その大きな鞘は細長い剣身を守るためい余裕を持たせています。
インチキでも大げさでもないのです。
安心しなさい、ボッジ君の腕前は確かですから、あなたが疑ってどうするんですか!」
「あ!そうだった…ボッジ、疑って悪かった。」
そうして新しい武器を手に、3人は外食へと出かけたのだった。
デスパー奥義の実力
ボッジが無事に稽古を終え、デスパー奥義を習得したことをお店で祝う3人。
「デスパー奥義だぁ?」
そこへ荒くれ物のアバン三兄弟が現れた。
アバン三兄弟はボッジを見て、こんなチンチクリンが弟子なのかと大笑いし、挑発を始めた。
「軽く流しなさいね。」
それを涼しい顔で、スルーするデスパーに(あれが大人の対応か!)とカゲは感心する。
「よーし、オレも…」
「あんなヘナチョコが弟子とは、ラクダ顔のお前にはふさわしいな」
刹那、デスパーの手によってアバン三兄弟の体は宙を舞った。
「弟子の悪口は許しますけど、私の悪口は許しませんよ!」
(ええええええ!そこは普通逆でしょ!)
先ほどの冷静さを失ったデスパーにカゲのツッコミは届かない。
アバン三兄弟に返り討ちにされるデスパーを助けようと、ボッジが小さな体で立ちはだかった。
「ボッジ、素手じゃダメだ!剣を取れ!」
「剣を使うまでもありませんよ、ボッジ君なら素手で倒します!」
デスパーの言葉通り、ボッジは三兄弟のアゴに非力なパンチを一撃与えると、途端に相手はひっくり返り、動けなくなってしまった。
「え?なんだ?」
その様子にカゲは動揺するが、デスパーは笑みを浮かべた。
「私たちにはいろんな弱点があるんですよ。
アゴは最も効率よく頭を揺さぶり、脳震とうを起こさせるんです。
しかもボッジ君は襲い掛かってくるチカラを利用して非力さをカバーしている。
さらに的確に弱点にヒットできるという…これがボッジ君の強さ!」
素手では敵わないと理解したアバンは武器を手に持ち、襲いかかろうとする。
「ちょっと待った!
それは己自身も殺される覚悟があると理解してもよろしいか!」
突然のデスパーの剣幕に怯むアバン。
そしてボッジが抜刀すると、勝負は一瞬でついた。
アバンは泡を吹いて倒れたのだ。
「こっ…殺…」
あの優しかったボッジがまさか人を殺すなんて…カゲはショックで泣きそうになる。
倒れたアバンに近づいたデスパーは「お見事!しっかり気絶していますよ!」とボッジを褒めた。
相手が気絶しているだけだと分かると、カゲもホッとした表情を見せた。
「ボッジ君の針剣は大事な気管を避けつつ、直接神経に刺激を与え、血管を拡張します。
要するにボッジ君は相手を全くの無傷のまま倒せるということです。」
この技術は相手の急所を貫き絶命させることよりも、とっても難しいこと。
逆に言えばボッジはいつでも簡単に相手の命を奪えるようになったのだ。
その事実に震え上がるカゲ。
「安心なさい、ボッジ君なら大丈夫ですよ。
弱きを助け、強きをくじく王の剣。
剣を持つ者の心得をしっかり教えていますから」
そう言って、デスパーはにっこり笑った。
ホクロとドーマスの任
その頃、城へと戻ったホクロはヒリングにボッジが自分の不注意で亡くなったことを伝えた。
力なくへたりこむヒリング、そしてボッジを守り切れなかったホクロを死刑にするよう命じた。
その死刑がまもなく執行されようとしていた。
「オレは…なんでここに?」
死刑が執行されようとしている中、ドーマスが息を潜めてホクロ救出の機会を伺っている。
「だけど…あんな正直なヤツを助けなくて、オレはこれから先どんな生き様を?」
己との葛藤を続ける中、とうとう死刑執行の合図が出された。
「プライドってのは厄介だよな、ホクロ!」
合図とともにドーマスは飛び出し、兵を次々と倒していく。
その様子を見ていたダイダの姿をしたボッス王が「何者だ?」とドーマスの前に立ちはだかった。
ダイダとは思えない迫力に、たじろくドーマス。
お互い剣を交えたことで、ボッスはドーマスの正体に気づいた。
「なんだ、ドーマスか」
ドーマスの姿を見たヒリングは「ドーマスを殺しなさい!死刑!死刑!」と部下に指示を出した。
それをボッスが「やめい!」と制止した。
「ボッジは無事だ、死んではおらん!」
ボッスは、魔法の鏡に今世界で一番強いのはボッジであると教えられていたので、ボッジの生存を知っていたのだ。
「ボッジは今冥府にて修行中だ。あいつは強くなったぞ!」
嬉しそうに話すボッスに、ヒリングが安心したあまり腰を抜かしてしまった。
「ボッジ様が…生きてる?」
自分が殺してしまったと思っていたのに、ボッジ様は死んではいなかったのか?
「ああ、本当だ。
よってお前らは死刑にせん。しかし、任を解き城から追放とする」
そしてボッスはドーマスに耳打ちをし、ホクロと共に城の外へと出した。
「ドーマス様、本当でしょうか?ボッジ様が生きているって」
「お前はどう思う?」
「もちろん私は信じます!」
「ああ…そうだな…オレもそう…おっ…お…思ふぞ!」
普段クールなドーマスの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
そしてドーマスはホクロに、ダイダの中身はボッス王であることを告げた。
「まさか!」
「本人がそう仰ったんだ…」
そしてドーマスはもう一つ、ボッスから任を預かった。
それはホクロと二人で城の地下にある、魔物を呼び寄せる冥府の入り口を破壊すること。
二人はその任務を実行するための準備へと向かった。
自分を愛するということ
「デスパーさん、本当に世話になったな。あんたへの感謝は言葉では表せないよ」
「私も楽しかったですよ」
ボッジとカゲは城へと向かうため、デスパーに別れの挨拶をしていた。
ボッジも手話を使い、必死にデスパーへの感謝を伝える。
笑顔でうなずくデスパーを見て、「そういえばデスパーさんはいつボッジの言葉も手話も分かるようになったんだ?」と尋ねた。
「えっ、いやわかりませんよ。
手話も分からないし、当然ボッジ君が何を言っているのかも分かりませんよ」
「え!?」
今まで言葉が通じていたと思っていたボッジとカゲは驚いた。
「でもねボッジ君、あなたの私への感謝は痛いほど伝わりますよ。
あなたと過ごして何も不自由などなかった。
ボッジ君、あなたが気にしていることは、もしかしたらあなたの長所なのかもしれない。
そして、あなたはその欠けたもので普通の人にはない色んなことを経験している。
それは苦しいけれど、きっと自分の道を切り開く力になるでしょう。
できれば自分の全てを愛しなさい」
そして拳を掲げ「勇気!」と叫んだ。
それにつられてボッジとカゲも拳を掲げ「勇気!」と叫ぶ。
涙目になりながらお礼を言い、歩き始めた二人の背中を見つめながらデスパーは願った。
(あなたたちに幸あれ)
5巻へと続く
読み終えて
今回はデスパーの数々の名言が心に突き刺さりまくりました。
ボッジ君、あなたが気にしていることは、もしかしたらあなたの長所なのかもしれない。
そして、あなたはその欠けたもので普通の人にはない色んなことを経験している。
それは苦しいけれど、きっと自分の道を切り開く力になるでしょう。
できれば自分の全てを愛しなさい
このセリフ、読んだときに泣きそうになりました。
私はコンプレックスの塊で、自分の外見も内面も、本当に好きにはなれなくて。
いつも誰かの顔色ばかり気にしていて、誰かのご機嫌ばかり気にしていて。
だから意見をハッキリ言える人や、周りの目を気にせずにお洒落を楽しめる人、堂々と笑顔で写真を撮れる人、芯があって優しい人などに強い憧れがあります。
あとは家庭環境も良くなかったので、いわゆる世間一般的な家族団らんの幸せな毎日なんてものも送れなくて。
だからちゃんと愛されて、自己肯定感や自信に溢れた人がまぶしくて仕方ないんです。
デスパーのセリフはボッジに向けられたものだけど、同時に私のような自分を好きになれない人にも送られた言葉なんじゃないかなと思います。
欠点も含めて自分の全てを愛する。
そんな風になれるまでは時間が掛かるかもしれない。
だけど、デスパーのおかげで一般的な幸せは味わえなかったけど、自分にしかできなかった経験をさせてもらったんだなって思えるようになりました。
私のこの苦しみも、いつか自分の道を切り開く力になると信じてみようと思います。
5巻も読んだらすぐレビュー書くので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
それではまた次の記事でお会いしましょう!
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