初めてのストラトキャスター
中学2年生の頃から、BUMP OF CHICKENの藤原基央さんの影響を受けて、ギターを弾いてみたくて仕方がなかった。
そんな想いを抱き続けて19歳。
とうとう私は初心者入門用のギター、legendのストラトキャスターを手に入れたのです。
コツコツとお金を貯め続け、手に入れたギターは感慨深いものだった。
ギターを買えなかった頃は、細長く切ったダンボールに裁縫用の糸を6本張ってネックに見立てて、それでよくBUMPのロストマンのイントロを練習をしていた。
糸はセロハンテープで留めてあるだけなので、ちょっと強く弾くとすぐに外れてくる。
ストラトキャスターを手に入れた今、もうこんなクソみたいなダンボールで練習しなくてもいいんだ!
ネットで検索してチューニングを合わせ、初めて弾いたロストマンのイントロに我ながらすごく興奮したのを覚えている。
クソみたいなダンボールでの練習のおかげで、すんなりとロストマンを弾くことができたのには少し笑ってしまった。
速攻ゴミに捨てたけど、あのダンボールには感謝が止まらない。
開始1ヶ月で無謀な夢を見る
やっとメジャーコードを覚え始めた頃、友達と夢を見るようになった。
SCHOOL OF LOCKというラジオ番組の企画、閃光ライオットに応募したい!
閃光ライオットは10代だけが参加できる夏フェスで、それに参加するにはオリジナル曲を録って番組に応募しなければならない。
私の好きなGalileo GalileiやMy Hair is Badも閃光ライオットに出演していて、そんなスゴいバンドが出ているフェスによく応募しようと思ったな、と今なら身震いしてしまう。
だけど情熱って凄い。
演奏技術がうんぬん、など考えもせずにやってみたい!という気持ちだけで曲を作りあげてしまった。
ここで当時のバンドメンバーを紹介します。
楽器が弾けないボーカル、メジャーコード覚えたてのギター(私です)、リサイクルショップで2000円のphotogenicを手に入れたばかりのベース、の3人。
ドラムがいない。
当時はドラムの重要性すら理解できていない程の初心者バンドだった。
とにかく自分のやりたいパートができればいい!的な。
そんな私たちでも夢を見て、それに向かって行動を起こした。
オリジナル曲を作り上げる
まともなコピー曲を1曲もできないままにオリジナル曲を作ろう!というぶっ飛んだ思考。
ボーカルの子が詩を考え、私が作曲をする。
その子の考えてきた詩が余りにも暗くて、後半は勝手に光に向かうような詩に書き換えた。
めっちゃ怒られた。
今考えれば無理に光に向かわなくても良かったなって思う。
できた詩を何度も鼻歌で歌い、しっくりくるメロディを考え続けた。
ある程度メロディが決まったら、今度はそれにコードを付ける。
だけど、どのコードを付けていいのか全く分からない…!
そこでネットで色々調べていたらパワーコードという存在を知る。
3箇所押さえるだけでロック特有のパワフルなコードを鳴らすことができて、もうこれしかない!と思った。
ここからはもう、ひたすら色んなポジションでパワーコードを弾いて、そこからしっくりくる音を探しまくる作業を続けた。
その後のベースライン作りも理論が全くわからなかったのでひたすら3弦と4弦を鳴らし、そのパワーコードに合う音を探しまくった。
そしてイントロから曲の終わりまで全てをパワーコードで完結させた唯一無二のヤバイ曲が完成した。
そうこうして閃光ライオットに応募するための一曲が出来上がった。
初めてのライブハウスへ
友達に出来た曲を披露すると喜んでもらえたので、ちょっと鼻高々だった。
閃光ライオットに応募するにはMDに録音して、番組に送らなければならないので皆でその方法を考える。
当時はスマホを持っておらず、ガラケーだったのでiPhoneで録音、という事も出来ず…現代の便利さに脱帽します。
あーでもない、こーでもないと言い合う中、友達が見つけてくれたのは録音もできるスタジオ!と書かれたホームページ。
恐らく個別のスタジオ部屋があって、そこに録音機器が揃っているんだろうなぁ、なんて思い、そこを予約してもらった。
録音当日。
着いた場所はライブハウス。
このライブハウスは住んでいる場所の中でも結構有名で、よく有名アーティストやバンドが演奏しにきている。
それこそ数年前だとマキシマムザホルモンとか、マンウィズ、チャットモンチーやクリープハイプも演奏しに来ていた。
この中に個別スタジオがあるのかぁ、なんて呑気に考えていたら裏から中へ通される。
ライブハウスの中ではPAさん達が何やらステージの前でぞろぞろとセッティングをしていた。
すげぇ…!なんかプロっぽい!これから何かのライブの予定でもあるのかな!?なんて呑気に考えていた自分を叱責したい。
スタッフさんが私たちに声を掛ける。
「セッティング終わったからもう演奏してもいいよ!」
ん?こんなたくさんの人前で?
しかもライブハウスの真ん中で?
もしかしてこの超本格的なセッティングは私たちの為に?
この状況であの曲をやるの?嘘でしょ?
私たちはお互いに顔を見合わせた。
皆気持ちは一つだった。
穴があったら入りたい、めちゃくちゃ恥ずかしい。
ポケモンでいうと手持ちのレベル5でジムリーダーに挑みにいってるようなもんだよな、なんて考えていた。
「あれ、ドラムいないの!?リズム取れないじゃん!」
とスタッフに言われて、マジで場違い過ぎて帰りたいと強く願った。帰れなかったけど。
仕方なくMarshallのアンプにギターを繋げてもらって、初めて爆音で鳴らしたギターは…めちゃくちゃ気持ち良かった。
スタッフさんは優しかった
覚悟を決めて曲を演奏、その曲を聴いたスタッフはきっと全てを察してくれたのだろう。
バカにしてくるでもなく、その対応はとても優しかった。
「君たちバンド始めたのはいつから?」
と聞かれたので、正直に楽器を手に入れてからまだ1ヶ月経ったくらいです、と話したら「そっかそっか、若いなあ!」なんて笑ってくれた。
それからは曲はいいけどギターの音がずれてるよ!とか、ボーカルの声量の大切さとか色々とアドバイスをくれて、時間いっぱいまで何度でも録音し直そう!と言ってくれて、真剣に何曲目が一番うまく録れているかも話し合ってくれた。
時間になって、そこのスタッフさんが最後に言った言葉は今でも覚えている。
「どんなに苦しくても音楽をやり続けなさい、そしたら必ず結果がついてくるから」
カッコよすぎるだろあの人!なんて帰りの車内は盛り上がった。
その後閃光ライオットに応募したけどもちろん落ちた。
恥も経験
超初心者がいきなりライブハウスでオリジナル曲を演奏し、とっても恥ずかしい思いをしましたが、今となってはそれも良い経験だったなと思います。
最後にスタッフさんが言ってくれた言葉は音楽だけではなく、仕事だったり、それぞれの抱えている夢にも当てはまることです。
やり続けるって言葉は簡単に聞こえるけど、実際やってみると本当に難しい。
好きなことでさえも毎日やり続けられない。
それって本当の好きって言わないんじゃないの?なんて日々己と葛藤しています。
だけどこれだけはハッキリと分かりました。
情熱があれば夢は叶う!
やったことがない事でも、情熱さえあれば向かうべき所に行けるんです。
例え遠回りになったとしても、ちょっと違う形になったとしても、あなたの願いはちゃんと叶います。
それだけは忘れないでくださいね!
たくさん恥をかいて生きていきましょう、それも経験になります。
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